道具のこだわりは、その素材にも及ぶ。
たとえば、ロッドのガイドについても例外ではない。


SIC、Gサメ、アルコナイト、
そして、チタン、ステンレス、ダブルフット、etc。


その流行は、その時代を反映し、
機能よりも、豪華さを求めてみたりと様々だ。


「チタン+SICで十分ではないか」
「いや全体のバランスを考えると、軽すぎるのもよくない」


こだわりと議論は尽きない。
しかし、それも与えられた範囲内での話し。


そして、新しい選択肢が追加されることにより、
多くの人は混乱し、パラダイムシフトを強いられる。


ルーミスの最上級機種に採用されているのは、
チタンでも、SICでも、アルコナイトでもない。


ただの形状記憶のワイヤーリングが装着されており、
トップガイドにのみ、通常のガイドが採用されている。


その形状記憶リングがすごい。
指で、90度曲げても元通りに戻る。


ボート上で踏んでしまっても、全く問題ない。


「ガイドの性能を求められるのは、トップガイドのみ、
それ以外のガイドは、強度を重要視した。


余計な贅肉をそぎ落として、
本当に必要な要件を満たしたらこうなった」


そんなメッセージが伝わってくる。
パラダイムシフトを余儀なくされる提案だ。


ただ、贅肉をそぎ落としていけばマニアックになる。


それは、大衆化を避けることになり、
ビジネスとして成立させることを難しくする。


メーカーサイドとしては、そのジレンマを、
「もっともらしい理由」でカバーしようとする。


道具を使う立場としては、何を重視するのか。
それを問いかける姿勢を問われている。


求める性能は、明確でこだわりがあるのか。
または、自尊心や虚栄心を満たすことなのか。


もっともらしい理由で、ごまかしたくなる気持ちを直視し、
本当の自分の姿や考え方を見つめてみる。


「本当は、わかっちゃいない」


この小さく、謙虚で、素直な気付きが、
別のパラダイムとの接点を作ってくれる。


アイデアを創出するには、新しいパラダイムに触れること。
そのために、本当の自分の丈を知ること。


気を許すと評論家になってしまう自分。
目の前の魅力的なパラダイムに気付かない自分。


そんな魅力のない自分にはなりたくない。